大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和39(オ)1308 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人石川元也の上告理由第一点(一)について。

所論は、本件建物が対外的には訴外Dの所有物としてその信託的帰属を認むべき

ことを原判決が判示している点を把えて、当事者の主張しないことを判決したとし、

かつ理由不備ないし理由そごの違法があるというが、原判決は、本件建物が上告人

A支部の所有であるとする同上告人の主張に対し、これを認めるべき確証のないこ

とを判示したうえで、むしろ挙示の証拠によれば、右主張と相容れない事実関係と

して、本件建物が対外的には右訴外人の所有物としてその信託的帰属を認められる

ことを判示しているのであるから、原判決には、所論違法はない。

同第一点(二)および同第三点(一)について。�

所論は、本件建物の所有権の帰属とは別に、上告人支部には被上告人に対抗しう

る土地占有権原があることを主張しているのに、原判決が右の点の主張自体理由が

ないと即断してしまつたところに、判断遺脱、理由不備の違法があるという。�

しかし、本件第一審および原審における弁論の経過に徴すれば、被上告人の上告

人らに対する本訴請求は、本件土地の上に本件建物を所有して本件土地を不法に占

拠している訴外Dに対し、被上告人が本件土地の所有権に基づき右建物の収去と同

土地明渡を求めるについて、同建物を現に使用する上告人らに対しその建物から退

去を求める趣旨であると解せられるから、右Dの本件建物所有による本件土地占有

が不法占有であると認定判断される以上、上告人らは右収去義務の現存する建物の

占有者として被上告人に対して原判決判示の履行義務を負うものというべく、被上

告人の上告人らに対する本訴請求が右義務履行を求めるにすぎないとすれば、上告

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人らが本件建物の占有関係を離れて本件土地そのものの占有権原を主張しても、主

張自体抗弁となりえないことに帰するものといわねばならず、原判決のこの点に関

する判示は首肯できて、所論判断遺脱、理由不備等の違法はない。従つて、所論は、

すべて採用できない。

同第二点について。

所論は、原審が証人Eの証人調決定を不法に取り消したとして、審理不尽の違法

をいうが、証拠調の採否は原審の専権に属することであつて、記録を調べても所論

証人調決定を原審が不法に取り消した事実は認められないから、所論は採用できな

い。

また、原審が当事者の主張しないことを認定したとの所論の採用できないことは、

論旨第一点(一)について前述したとおりである。

同第三点(二)について。

所論は、本件土地がもとF支部の賃借にかかるものであるところ、その一部をF

支部が被上告人に転貸していたとの原審認定外の事実を前提として、被上告人の権

利濫用を云々するものであつて、論旨はすでに前提を欠き採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 奥 野 健 一

裁判官 山 田 作 之 助

裁判官 草 鹿 浅 之 介

裁判官 城 戸 芳 彦

裁判官 石 田 和 外

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